はじめての赤ちゃん

TOP はじめに 更新履歴 成長の記録 産後いろいろ 妊娠中のこと 育児日記


出産時のこと

出産当日のこと。
陣痛が来てから、プーが生まれるまでの経過です。初産です。
相変わらず文章長いです。

こうして文章にして読み返してみると、母は安産だったなぁ。
この日、初めて感じる痛みで無我夢中だったけど、よく思えばこれほどない位に至れり尽くせりだったんだなと気が付きました。周りのみんな、本当にどうもありがとう。



午前2:00頃

お腹がなんとなく痛かった。
妊娠末期の頃、母の体調はすこぶる悪く、毎晩鼻づまりでこのくらいの時間まで眠れないことは日常茶飯事。腰もお腹も痛くて、どうせいつものことだろうが、やけに今日は長いなぁと思っていた。

午前4:00頃 お腹の痛みがずっと続き、ほとんど眠れないでいた。
それでも、まだまだ我慢すればできる程度の痛み。
うとうとしかけた時、プッと少量失禁したような感覚があり、股間が温かくなった感触があった。慌ててトイレへ駆け込むと、つけていた生理用のナプキン(尿モレをすることがあったので、ここ3日位はいつもナプキンをしていた)が水分を吸ってモッタリ。おしるしも、生理の2日目くらいの量が出ている。
お腹の痛みの感覚を計ると、12、13分に1回くらいの波。
もしかして破水?もしかして異常出血? 父を起こして状態を話すと、病院へ電話してみたら?と。そうだと思い、病院へ電話をかけてみた。

午前4:30頃 病院へ電話をすると、「そのくらいの出血ならおしるしだと思いますが、破水の疑いがあるようでしたらお越し下さい。」と。
入院の準備はしてあったので、分娩室用・入院用のバックを持ち、電話でタクシーを呼んで病院へ。

タクシーを待つ間、なんだかいてもたってもいられず、外で待つ父と一緒に夜風の冷たい中タクシーを待って立っていた。
お腹の痛みは、痛いことは痛いがもっと我慢できない痛みだと聞いていたので、まだまだもっと痛くなるんだろうなと思っていた。
タクシーを降りる時、運転手さんが「これから出産ですか?頑張ってくださいね!」と言ってくれた気がした。が、気持ちが高ぶっていて、聞こえたような空耳だったような。

午前5:00頃 病院につき、すぐに破水かどうかの検査をした。
濡れたナプキンを持ってくるように言われていたので、それを渡す。お腹に機械をあて、お腹の張りと赤ちゃんの心拍をチェックする。その後、内診。

機械をお腹にセットする時、「陣痛の場合はもっと必死になっているはずだから、見た感じまだお母さんに余裕がありそうですので、前駆陣痛かもしれませんね。」と言われる。
えっ、こんなに痛いのに、陣痛ですらないの?と思ったが、計測の結果は、やはり前駆陣痛のようだとのこと。

気にしていた破水も、どうやら違うとのこと。目の前でリトマス試験紙を使ってチェックしてくれたが、まったく反応は出ず。ただの失禁だったようだ。ああ恥ずかしい。。

内診の結果、子宮口は3cm程開いているが、この様子では今入院してもすぐに出産になるかは疑わしい。入院するかは貴方次第です、と。
丁寧な言葉を選んで話してくれていたが、要するに、「とりあえずお家に帰って様子を見るのがいいと思うわよ」って聞こえた。自分もそう思ったので、とりあえず入院せずに帰ることに。

なんだかちょっと拍子抜けした。
安心したような、まだなんだなと少しガッカリしたような。

午前7:00頃 6:00過ぎ頃に家についた。
やっぱりお腹が痛くて、心なしさっきよりも痛みが強くなっている気がする。座っていても横になっていても、重たいお腹が圧迫されて余計に痛いので、ベビーベッドに寄りかかって立っていた。父が朝食を作ってくれると言うが、おちおち食べてもいられず、ホットミルク1杯だけ飲んだ。
痛みの間隔を計ると、10分だったり7分だったり。ついさっき、まだまだそうだと言われたばかりだけど、絶対これは陣痛だと思い、再度タクシーで病院へ行くことに。
父は、母に付き合って休みを取ってくれた。

この頃の痛みは、重い生理痛の3倍くらいの痛み。子宮を握りながら、下だか上だかへ向かって押されるような感じ。
今振り返って思えば、この頃の痛みはまだまだ序の口だったが、この時点ではこれほどのお腹の痛みを経験したのは生まれて初めてだったのと、お腹の赤ちゃんが気がかりだったのとで、焦りと不安でもっと痛く感じていた。

午前8:00頃 通常の午前中の診察受付時間が始まっていたので、受付で陣痛が来たっぽいので診てもらいたい旨を伝える。たまたまいつもの主治医が外来担当の日だったので、少し待って、すぐに診てもらった。
診察の結果は、朝と同じ。どうもまだっぽいが、痛いようなので、このまま入院して経過を見ましょうとのこと。
入院の手続きをして、分娩棟へ。入院手続きの書類に、自分で記入する余裕がまだあった。

午前8:30頃 まずは書類を持って分娩室に行くように言われたので行くと、助産士さんが入院の説明をしてくれる…ハズだったが、朝食を食べたか尋ねられ、ほとんど食べていないと答えると、入院するとしばらく外出できなくなるから、今の内に外で食べるなり買うなりしてきた方がいいと言われる。
お腹痛いんだけどなーと思ったが、今すぐには生まれないから、むしろ歩いた方が良いと言われ、父と一緒に近くのコンビニまで歩いて行って弁当を買ってくることにした。

痛みには波があり、弱い時にはゆっくりなら問題なく歩ける。痛いときは、立ち止まって波が過ぎるのを待つ。歩いて片道5分くらいの距離にあるコンビニまで、3倍くらいの時間をかけて往復した。
病院に戻ってお弁当を食べたが、半分くらい食べて残してしまった。これが、出産前まともに食べた最後の食事。

午前10:00頃 陣痛控え室へ。
入院用の着衣に替え、ベッドで陣痛が強まるのを待つことに。
痛みの波が来ていない時は、父と話をすることもできる。波が来た時は、楽な体勢を求めて右往左往。ベッドの上に乗り、四つん這いで膝を抱えて腹に体重がかからないようにするのが楽なので、始めはそれでいた。けど、そのうち手足がしびれて四つん這いでいることにも辛くなった。巡回に来た看護士さんが、大きなクッションを貸してくれ、それにもたれかかっていた。

よだれつわりは引き続きあり、持参したボトルに唾を吐き出す余裕がまだあった。

正午頃 昼食を出されるも、お腹が痛くて食べる気がおきず。
少しでもいいから食べなさいと助産士さんに言われ、傍にいた父が無理矢理口に押し込んでくれた。
ベッドの上でモガモガしている母におかまいなしで、助産士さんはお腹に機械をあて、胎児の心音?やら何やらを測っていた。
今日生まれそうですか?と助産士さんに尋ねると、「うーん…。今日生まれれば『ラッキー!』かな。」との返答。ああそうか、まだまだなんだ、明日まで続くのかこれが。。と、げんなりする。
同時に、「まだまだってことは、もっともっと痛くなるんだな。今も十分痛いんだけど、やっぱり私は我慢が足りないのかなぁ。。」と、少し落ち込んだ。

午後14:00頃 出産はまだまだそうなので、父は一旦自宅へ帰った。
父が帰ったとたん、急に痛みの強さが増した気がした。不安になったからか、話相手がいなくなって痛みと向き合う時間しかなくなったからか。
ベッドの上でうずくまるのも効果が薄くなり、枕の方へズリ寄ってみたり、足の方で縮こまってみたり。

この頃から、助産士さんが巡回に来る度、「うんちが出そうな感じはある?肛門を押さえていると楽になる感じはある?」と、何度も聞かれた。しかし、この頃はそれほどそんな感じはしなかった。と、いうか、痛みで正直よくわからない。股全体が軽くしびれて、自分のものではないみたい。
助産士さんは、「大きく痛い時は、深呼吸をすると痛みを上手に逃せるわよ」と言い、いっしょに深呼吸をしてリードしてくれた。

午後16:00頃 どんどん痛みは強くなる。
痛みの間隔とか波とかを考える余裕はなく、もうずっと痛い。助産士さんが教えてくれた深呼吸の仕方だけが痛みを和らげる唯一の方法だが、それも藁にもすがる思いでやっているだけで、やってても痛いことは痛い。
こんなに痛いのに、まだまだ生まれないのか?と、くじけそうになった。
どの姿勢でいても痛いので、立っている方がお産がすすむと言うから、ずっと壁にしがみついて立っていた。足は力が入らず、ガクガク。「この痛みが明日まで長引くのは絶対にごめんだ。今日生まれろ。」の一心で、座り込みそうになるのを執念で堪え、柱にかじりついていた。

この頃は、助産士さんは巡回にくる度、お腹に機械をあてて確認するようになった。そして、お腹はずっと痛いことを伝えると、「もうしばらくしたら、陣痛室へ移りましょうね。」との言葉が。これまで散々まだまだだとみんなに言われ続けてきたが、ここにきてようやくお産が近づいていることを初めて知った。「ほらみろ、やっぱ陣痛じゃないか、やっぱ痛いじゃないかちくしょー!」と、心の中で誰かに八つ当たりしていた。

午後18:00頃 夕飯を出してくれたが、やっぱり痛くて食べる気にならず。腹が空いているかどうかも、痛みでよくわからない。というか、痛みで「痛いよー!」以外の事を考える余裕が無い。
深呼吸も、「ハーッ、ハーッ」と出したくなくても声が出る。必死なので、恥ずかしいとかいう意識はない。

よだれつわりはまだ続いていたが、吐き出した記憶があまりない。ボトルに手を伸ばすことすらしんどくなっていた。どうしていたっけなぁ??

午後19:00頃 陣痛室へ移動。
ここからは、担当の助産士さんがほぼ付きっきりになってくれた。空いてたからかな?他に、陣痛室には誰もいなかった。
陣痛室のベッドの上でいきみ逃しの深呼吸をしていると、助産士さんが深呼吸ではなく別の呼吸法をしてみましょうというので、それをする。
「少し破水しているかも、ちょっといきんでみようか」と言うので、「もう、いきんでもいいの?」と、思わず聞き返してしまった。いいのよと言われた。子宮口が全開するまでいきんではいけないと聞かされていたため、いつの間にそんなに進んだのか驚いた。
ベッドの上でお腹に力を入れていきむと、ポンッ!という衝撃とともに、股が温かくなった。破水。
止まらないおしっこのような感触。生臭い臭いがするとか言うけど、必死になっていてそれどころではなかった。
「股間に赤ちゃんの頭が見えてきたら、分娩室へ移動しましょうね。」と言われてから、どのくらい陣痛室で待っただろうか。とても時間が長く感じた。

よだれつわりはまだあったが、ボトルに吐き出すことまで気が回らなくなっていた。ハンドタオルを握り締めて陣痛室に入り、それを咥えていた。今までの唾液の量からすると、そんな大きさの布はすぐにぐっしょりになってしまうはずだが、それほどぐしゃぐしゃにはならなかった。量が減っていたのかな。

午後21:00頃 分娩室へ移動。
途中、陣痛室と分娩室の間の廊下で陣痛の波が来て、その場で腰を落としていきんでしまった。すかさず助産士さんが後ろにまわり、脱腸しないように&倒れないように、支えつつ肛門を押さえてくれた。なるほど、だから陣痛室から先は廊下も男子禁制なんだな。

初めて分娩台に乗る。体を伸ばしたり縮めたりがうまくできず、重い腹を抱えながらなんとか登った。
足置きに足を乗せると、あとは自動で大股開き状態までイスが動く。大した動きじゃないんだけど、体がギシギシになっているもんだから、とてつもなく大きな動きを強いられたような気がした。相当ビビッっていたようだ。

陣痛の波がくると、助産士さんが呼吸のリードをしてくれる。それに合わせ、ピークの一歩手前で大きく吸い、あごを下に引き、息を止め、一気にいきむ。うんちをする時に下腹部に力を入れるのと同じ。すると、股間に微かに「ムチムチ…」という感触があり、「そうそう、上手よ!」と、助産士さんが褒めてくれる。よくわからないけど、これでいいみたいだ。

格闘すること、30分(くらいだったかな)。突然、股間にピキッ!という、強く鋭い痛みが。それまで痛みで頭がボヤ〜っとしていたのが、一気に吹っ飛んだ。鋭く痛い。思わず、「痛い!!」と叫んでしまった。どうやら、裂けたらしい。ああ。。

ここからは、ほんと地獄。
陣痛で痛いが、頭がボーっとするのも無くなってしまい、ダイレクトに痛い。裂けた場所も、いきめばいきむ程痛いんだけど、いきまなければ進まない。あまりの痛みに、立てていた膝がガクガク揺れだす。ふざけているのかと思うくらい、思いっきりガックガク揺れて止められなかった。
息も乱れ、過呼吸でクラクラしては鋭い痛みで呼び戻され、喉が詰まって息ができずに窒息しそうな感じ。パニック。よだれつわりどころではない。もう、ぐっちゃぐちゃ。

午後22:00過ぎ 心身ともにヘロヘロとは、まさに今のこの状況。
何がどうなっているかもわからず、助産士さんのリードだけを頼りにいきむ。そして、「出た!頭が出たわよ、もういきまないで。」と。おおついに事態が進展したか、と、パニックながらどこか冷静に思った。しかし、突然いきむなといわれても、このお腹の波はどうしたらいいものやら。ついつい力が入ってしまうが、「いきんじゃだめよ、だめよ〜〜。」と窘められ、えーどうすればーー?なんて考えている内に、ズルズル!っという感触とともに娘誕生。

生まれ出た瞬間、「んぎゃああああ!!」という元気な声が。へその緒もつながったまま、ほんと出た瞬間に大きな泣き声がした。頭がクラクラしていて、なんかドラマを見ているみたいだった。
「おめでとうございます!」と言われ、赤ちゃんを見せてもらい、「ああ、ほんとに人間だ。ほんとに人間が私の腹に入っていたんだ。」と思った。あたりまえの事なのに、今やっと確信したような、なんか変な感じだった。

さっきまではあれほど地獄だったのに、おめでとうと言われてから、全ての痛みは「まぁ、仕方ないよな、あれくらいは。」と思えた。不思議。
分娩室の様子も、この時初めて見たような気がした。1時間以上、ずっとここにいたのに。
無事に生まれて良かった。良かった。





出産は、こんな感じでした。
出産後のことは、産後の回復「産後0ヶ月(入院中)」へ続きます。





Copyright (C) 2008 はじめての赤ちゃん. All Rights Reserved.